現在の大半のEコマースが手がけている有形物の財を扱う場合、
- 商品の在庫管理
- オンラインでの商品情報提供
- クレジットカードの信頼性に担保された事前決済
- 配送ネットワークの信頼性に担保された商品配送処理
未だ経済活動の圧倒的大多数を占めるオフラインの商活動、特に無形物であるサービスに関して言うと、YelpやFoursquare、食べログなどが行っているように店舗の基本情報及びメタデータはある程度体系だって網羅されていますが、O2Oと騒がれながらオンラインでのやり取りがオフラインの商活動を後押ししているとは言え、
- オンラインにおけるどの活動がオフラインの売上のどの程度を占めているかを正確に可視化できていない
- オンラインでの情報調査からオフラインの店舗訪問/決済までの時間的乖離によりコンバージョンが発生し、潜在的な顧客喪失をもたらしている
などなど今だに問題は山積みですが、毎日のルーティーン業務として日常生活に組み込まれているため、その解決策を考えたり具体的にアクションを起こしたりすることが中々難しいのが現状です。皆忙しいのです。またそもそも、オフラインビジネスを手掛ける多くの人たちにとって、
- まだオンラインは自分たちのビジネスの売上を左右する媒体では無い
- その重要性は何となく分かっていたとしても第一歩として何をやって良いのか分からない
- 何となくTwitterやFacebookのアカウントを使って宣伝してみる
- 周りがやってるからYelpやら食べログやらGrouponやらに手を出してみる
というのが現実であり、忙しい毎日の業務の中少ない貴重な時間を割いていかにオンラインでの活動を現実での店舗の賑わいや繁盛っぷりにつなげるかということを考えるのは正直難しく、皆頭を悩ませている所です。GrouponやLivingSocialが流行った理由は、端的に言えば「何も考えなくても出稿すれば客が飛びついて、オンラインでお金が落ちるから」の一言に尽きます。言わば将来の不確定な売上と大幅割引と引き換えに現時点の売上を確定させるオプション取引であり、安さが判断基準となって訪れる客層のリピート率は想像通り低く、Grouponは今躍起になって顧客のロイヤリティー化をサポートすべく動いていますが...創業者の首を切ってもビジネスモデルの舵を大きく切らない限り上場企業としては中々難しいでしょう。
多種多様な無形サービスを調査しましたがその中で、あらゆるサービスは二者間の時間軸の交差点の上に乗った付加価値である、というのがほぼ唯一の共通点であり、この仮定に基づくと、有形物の在庫管理に相当するSKUですが、(サービス提供者の時間 + サービス享受者の時間) x (サービス情報) として無形物であるサービスのSKUを定義することができるのでは無いでしょうか。
この時間の可視化、サービス情報の体系化・透明化こそが業種やカテゴリを超えたサービス情報の整理の鍵の1つであり、GrouponやLivingSocialのような場所で"安いから探す"といった再帰率の低い金銭的インセンティブを契機としてではなくAmazonのように"○○が欲しいから探す" "□□の時間帯が空いているからぶらっと見てみる"といった純粋な需要ベースの行動やウィンドウショッピング的動きを促す仕組み作りができます。また時間軸を基に売上や顧客数、単位時間占拠率、潜在顧客損失率など様々な指標で分析することで、サービス提供者は適切な時間帯に適切なサービスを適切な価格帯で提供できるようになります。
こうしたSKUとしてサービスを捕捉し、そしてそれに基づいて"時は金なり"を見える化させることが、今までオフラインビジネスが抱えていた問題の本質的解決策の1つになるのではないかと考えています。
参考:
- Online Retail Forecast, 2012 To 2017 (US) - Forrester Research
- Web-Influenced Retail Sales Forecast, 2012 To 2017 (US) - Forrester Research
- Serivice as a SKU - Techcrunch
- Closing The Redemption Loop In Local Commerce - Techcrunch
Note: 2014年のブログ執筆習慣化を意気込んだので、一足先の2013の大晦日ですがきっちり記事を書いたぞということもしっかり書き残しておきます。